偏見

2002年7月6日
でーさんは穏やかな人である。
高村は彼女が怒ってるのを見た事がない。
たいていの不条理や悲しい事は、「ふむ!」というかけ声と怒りのゼスチャーで済ませてしまう。
(高村の観察眼の欠如故かも知れません)

「でーさんはとっても穏やかな人だ」
店長と二人レセプト請求の書類を繰りながら、そんな話をして間をもたせていたら、

「心の広い人は、幼少期に虐待を受けている確率が高い。
言い争いをしないのは、幼少期に虐待を受け、『おかあさんやめて!』と繰り返し言っても聞き遂げられなかった場合、
『自分なんか何を言っても無駄なんだ』
と、諦めてしまう事があるからだ」
とか言い出した。

『人の友達(とその親)を捕まえて何を失礼な事を考えるのか!』
「そんなんとちゃうと思いますけど・・・」
と言ってみたが、
「その子は、方向音痴じゃないか?」
かつて、漫才の公開録音に二人して出かけた時、地図と地図付き招待ハガキを持って、思いっきり逆方向に私を誘導したでーさんを思い起こしながら、そうだ、とこたえると、

「幼少期に虐待を受けると3次元がうまく構築できなくなったり、記憶するためのキャパシティが少なくなったりするんだ」

と、方向音痴で物忘れの激しい人はみな一様に
暗い過去を背負っていなくてはならないような事を言う・・・。

『なんかやな事でもあったんかね、この人は』
と思ったが、余りにも力説するので、めんどくさくなってほっておいた。

ごめん、でーさん。
こんなところでありもしない暗い過去を背負わせてしまって・・・・。

なんだかよく分からない事で、言い負かされてしまった日。

コメント