タオル。

2002年1月13日
有間さんとでーさんには共通の悩みがある。
3日ぐらいのタイムラグを開けて、同じ話をされた事があるのだ。

夜、眠る時、うつ伏せと仰向けの違いこそあれ、二人は枕に柔らかなタオルを巻いて眠る。
ふかふかとしたパイルの感触が心地よいらしい。
しかし二人の母親は、新品のタオルはトイレの手ふきに使われるのが相応しいと思っていた。
来客時は高村も同じ心になるので、このあたり、余りやみくもに責められない。
「お母さんに気持ちも分かるよ、トイレの手ふきはタオル的には晴れ舞台だよ」
タオルの最も人目に触れる位置だ。
だが、突然の来客におびえる二人のお母さんは、来客がある時だけで無く、毎日、最もよいタオルをトイレにかける。
つまり、枕に使われるか、トイレに使われるか競争なのである。
トイレの手ふきにされたタオルに顔を押し付けて眠らねばならぬと言うのは彼女達にとって、屈辱であるらしい。
そして新品でふかふかだったタオルはあっという間にガビガビになる。
争うように使われては劣化も激しくなろうものだ。
そして、耐え切れなくなった二人は新しいタオルを買い、再び、熾烈な競争が始まる、らしい。

枕使わない私にはよく分からないが、頑張れ。
と、のんきに構えていたら、今日、似たような経験をした。
朝洗面所に行くと、ものすごい匂いがした。
ふと見ると、兄のタオルケットが二つにちぎれて落ちていた。
兄は万年床にタオルケットを曵いて眠っているが、めったに洗濯に持って来ない。
中央が弱ってビリっと裂けたのを、洗面所に捨てて行ったのだ。
きっと、深夜のうちであろう。
それを父が見つけ、何かしたらしい。
濡れているせいかものすご〜く臭う。
洗濯機の中がからだったので、無言で、洗濯機に放り込み、廻した。
干していると、
「雑巾にしてたのに!」
おこられた。雑巾〜?!
バスタオルよりもでかく、ホテルのバスタオルのような分厚さの、・・・雑巾?
そんな洗えもしないようなサイズの雑巾?
「せめて切れ」
高村はめんどくさくなって、何も言わずに残りの洗濯物を片付けた。

2階の廊下を帚ではきながら下に降りてくると、洗面所に、真っ白なタオルのまん中に、何やら汚れの付いたタオルが、またしても濡れたまま、張り付いていた。
「お父さん、これは何?」
「雑巾や」
なんでもっと痛んだのを選ばないのだ!
あるだろう手頃なのが!!
しかも、ひとなでのために!!

高村はめんどくさくなって、バケツと雑巾を父の前に置き、年末に痛んだバスタオルで製作した雑巾をダイニングテーブルに積んだ。
「勝手に雑巾を製造するな」
忘れていたが、父は手触りのいいタオルを平気で雑巾バケツにつっこんで、一発で再起不能にする。
年間1ダース以上、手触りがいい灰色の雑巾になる。
私にもタオル的悩みがあったのだ。

でーさん、有間さん。タオルの悩み仲間に私も入れて下さい。

とりあえず予防措置として、部屋の数だけ雑巾を製造して、1番目に付くところに放置しよう。
高村家には急な客など来はしないしな。
(悪くなったタオル→雑巾状に加工はしているが、台拭き→雑巾→トイレ雑巾。というふうに使いたかったのに。いきなり全部雑巾か・・・悲しい・・・)

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